ライヴレポート


昨夜から降り出した雨も止み、夏の暑さも和らいでいた。
しかし、間もなくここ「代々公園」は日本で最も暑い場所になるだろう。
なんと言ったって「涙目デビルズ」の野外ライブ「ペテン師たちの暴動!全国一周ツアー2007INサマー」が行われるのだから。

午後七時、会場に永遠と流れていた木魚の音が止まり、ステージに明かりが灯る。途端に起こる、大歓声!いよいよライブの始まりだ!
するとバンドセットの奥にある巨大スクリーンに『↑』と表示される。
何のことだろうと首をかしげるオーディエンスだったが、その答えはすぐにわかった。
なんとメンバーがパラシュートでステージに現れたのである。
さすがエンターティナー、入場からファンを楽しませようという素晴らしい心意気!平均年齢92歳の彼らだからこそ、驚きも倍増だ。
パラシュートの取り外しに戸惑ったり、着地のときに入れ歯を落としてしまったりで、まだ一曲も歌ってないのに、
開始から三十分経ってしまったが、それも愛嬌だ。

「いやー悪い悪い、待たせちゃったな。でもこういう時間も人生にゃ必要なんだぜ?」

と、ボーカルのホワイト・木村(本名・鈴木宏夫)が一言。
普通の大人なら「適当なこと言ってごまかそうとすんじゃねぇよ、じじい。」と言いたくなるが、彼の言葉には不思議な説得力がある。

「OK!じゃあ、盛り上がっていちゅ、いこうぜ!」

ボーカルのホワイト・木村(本名・鈴木宏夫)が初っ端からかみつつも叫ぶ!
一曲目はなんといきなり『笑ってよ大仏様』!
サビの「なんでもかんでも王子って♪付ければいいってもんじゃねぇ♪」は全員で大合唱!はやくもアーティストと会場が一体となる。

「このクソ暑い夏にぴったりの、とびっきりファンキーなやつをやるぜ!」

と、ボーカルのホワイト・木村(本名・鈴木宏夫)の一言で始まった次の曲は、昨年の夏に大ヒットした『スーパー雪景色』!
暑い夏をさらに暑くさせる激しいビートが会場を襲う!
オーディエンスがそれに反応するように『涙目デビルズオリジナル手ぬぐい』を振り回す!暑い!そして熱いぜ!デビルス!

ここで一旦、MCに入る。
さて、デビルズのMCは非常に長い。
今回も一時間近くであろうか、ボーカルのホワイト・木村(本名・鈴木宏夫)は喋り倒していた。
印象に残った部分を載せるので、活字から彼のソウルを感じ取って欲しい。

「狐の霊がついてるんだとさ、俺には。さすがに恐いなって思ったんだけど、その壷を買えば問題なしっていうから買ったのよ、五千万で。
 リッチだろ?俺。売れてるからね(笑)不景気だけどさ、お前ががんばりゃ儲けられるようになってんだ!
 働きまくって、札束掴んで、遊びまくろうぜ!」

前半は「え・・・。」的な顔になっている人が大勢いたが、後半の熱いシャウトに皆、心打たれていたようだった。

MCが長かったせいで、予定していた曲を大幅にカット。あと二曲となってしまった。

「次の曲はゲストを呼んじゃうぜ!」

自分のせいで予定がずれていることなど気にもしないボーカルのホワイト・木村(本名・鈴木宏夫)。
彼のそのスタンスは、座右の銘「すんだことは仕方がないんじゃねぇ?」から伺える。
さて、ステージに現れたのはMCよっこら(本名・後藤則男)!
HIPHOPをやりつつ「俺のやってる音楽は演歌なんだ!」と頑なに主張し、日本の音楽シーンに無意味な衝撃を与えてきた男である。

「俺が来たって事は何をやりゅかわかっぷってんだろ!」

と、ナチュラルに二回かみながらも始まったのは『ステップ木魚ステップ』!
ボーカルのホワイト木村(本名・鈴木宏夫)のハイトーンボイスにMCよっこら(本名・後藤則男)がなり声ラップが絡み合い、
なんとも気持悪いグルーヴを生み出す!
しかし、サビに入る直前にMCよっこら(本名・後藤則男)が腰の痛みを訴え、演奏はストップ。
112歳という高齢の体に鞭打っての出演だ、無理も無いだろう。
担架で運ばれていく偉大なる男の姿をオーディエンスは大歓声をもって見送った!
 
「OK、次で最後だ。最後はしっとりと締めさせてもらうぜ。」

エンディングはセツナ系ソング『せつないね』。
スローテンポな曲に乗せて、ホワイト木村(本名・鈴木宏夫)の透き通るような歌声と、タンが絡むのか時折「かーっ、ぺっ!」
という音がオーディエンスの心を鷲づかみにする。

歌い終わると、デビルスは足早に去っていった・・・
勿論、これだけで終わるわけがない!当然のごとく巻き起こるアンコールの嵐!!

程なくしてメンバーが再登場!
会場が再び熱気に包まれようとしたその瞬間、

「いやいや、無理無理。もう無理だって本当に。」

という今年94歳を迎えるホワイト木村(本名・鈴木宏夫)の言葉にオーディエンスは、

「あ、やっぱり?」

と思ったことだろう。

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